『セミリタイア修行生活』@永平寺
しかし、その門前町は近年、観光客が減少し再生を迫られていました。
そのためのパートナーとして永平寺が選んだのが「森ビル」です。
「森ビル」といえば「六本木ヒルズ」。その企業が古くからある門前町の再生を手がけるという記事(2016年1月20日の日経MJ)を見て、かなり驚きました。しかし「森ビル」が永平寺に対してどのように働きかけたか、そのステップは興味深いものでした。
STEP 1 『目の前にある問題に速やかに取り組む』
観光客、特に「訪日観光客」を呼びこみたい、というのは、どこの観光地でも共通の課題です。しかし、永平寺と森ビルとの交流は観光客を呼びこむ目的で始まったわけではありません。
数年前、永平寺には「広大な境内にある杉の保全をどうすればいいか」という火急を要する問題があったようです。この対策を森ビルに相談したときに、森ビルは全国から林業関係者や学識研究者を呼び寄せチームをつくり、早期の課題解決にあたりました。
これで森ビルは永平寺の信頼を得ました。
STEP 2 『過去の実績が、今ある課題解決につながることを示す』
森ビルは「六本木ヒルズ」の実績を「徹底した話し合いにより地権者の理解を得て、新しい施設をつくり町の賑わいを産み出した」ことだと説明しました。そして同じやり方で「永平寺門前町」を活性化することは可能だ、とアピールしました。
永平寺門前町の開発費予算は20億円。2,000億円かけた六本木ヒルズと規模は違っても、同じノウハウで開発できると主張したのです。
STEP 3 『相手を仕事にまきこむ』
森ビルは「六本木ヒルズ」に「グランドハイアット」ホテルを誘致しましたが、今回の場合は永平寺自身が”宿坊”をつくることになりました。
20室、80人が泊まれ、精進料理や座禅体験を楽しめる宿泊施設を建設します。
相手の得意分野はまかせる、そして具体的な数字で合意する。これによってパートナーとして同じ目標にむけて走っていくことができるのです。
このステップは『セミリタイア生活』で起業した場合の営業活動にも活用できるのではないでしょうか。
ポイントは、最初に相手がかかえる一番の悩みの解決にあたる(STEP 1)。
アピールすべき実績は仕事の規模よりも、以前使った手法が今の課題解決にいかにマッチするか(STEP 2)。
そして、相手にも外せない役割を担ってもらい、具体的に期限や人数・予算などの数字を約束してもらう(STEP 3)。
新聞の記事をひとつ読んだだけですが、永平寺で修行したかのような教訓を得たように感じました。
クリックしていただけると励みになります♪